タイで地雷を踏んだ著者
タイには王室不敬罪があり、それを犯すと逮捕されてしまう。(実際に逮捕されても執行猶予がつくので服役した人はこれまで皆無だったが、今年3月に酔っ払って国王の写真にスプレーで落書きした50代のスイス人が懲役10年の実刑を受けた)
だから王室に関して誰もが思っている事や、紛れも無い事実でも、本には絶対に書いてはいけない。(特に在住者はただでは済まない)
しかしこの本の著者は、まだタイに来て間もないときにそれを書いてしまい、3年後にタイ当局に見つかり、地元メディアも騒いで大変なことになってしまった。
それさえ書かなければ、版を重ねられただろうに。実にもったいないことをしたものだ。
タイでの暮らしがよく分かる
著者の経歴をみると大変な苦労人のようだ。そして行き着いた先がチェンマイ。住んでみないと分からない様々な役に立つ情報が記されている。良いことばかりでなく悪い面、つまり日本人の陥りやすい落とし穴までしっかりと踏襲してあるのには好感が持てる。老後に、わずかな年金で暮らしていけるのかと思う身には、海外で暮らすのも人生の選択肢のひとつである。昨今、こうした年金だけで海外で暮らす内容の本が増えたのも、日本の将来に明るい展望が見えてこないからであろう。 ただ、問題は二つある。日本と海外の二重生活をするのなら当然、往復の旅費がかかる。いかに物価の安い国に住もうともこの旅費が負担になりはしまいか。次に、言葉の問題。タイはタイ語しか通じない。せっかく海外で暮らすのに日本人同士かたまって生活するのはいかがなものか。現地の人との交流があってこそ、その国に暮らす意味があるのではなかろうか。本書に限らず、この二つの問題をクリアできなければ、では老後は思い切って海外で、と実際に行動に移せない読者が大半を占めるのではなかろうか。
年金生活に夢を見ることができる
定年退職を数年後に控えて 折々に第二の人生を考えるようになった。多くの先輩諸氏がいろいろな国で豊かな老後を過ごしていることは類似の本により知ることができる。しかし今までに読んだものの多くは特別の条件を持っている人がかなえることができる夢で自分の手に届くものではないという思いがあった。この本をよんで平凡な人生を歩んできた自分にも ほんの少し勇気を出して一歩を踏み出せば夢はかなえられるのだという気にさせてくれた。 著者の生き方や考え方にも共感を覚える。
マガジンハウス
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