車の楽しみ
1992年に二玄社から出た単行本の文庫化。
著者は日本で自動車雑誌の編集をしていたが、ふとしたはずみでイタリアに移住してしまった人物。本書ではイタリアでの生活が自動車を中心に描かれている。ちなみにティーナというのは著者の愛車の名前。
駐車違反の切符を切られたり、中古車を購入したらすぐに壊れてしまったり。色々なエピソードが紹介されている。しかも、そのいちいちが日本ではとうてい体験できないようなものばかり。イタリアという国のいいかげんさというか、おおらかさを感じさせられる。
唐突に短編小説がはさまったりする。
私もチンクエチェント大好き
まず著者のユニークな経歴に惹かれました。車雑誌「ナビ」の編集者として何度か仕事で渡伊しているうちにイタリアに住んでみたくなり、退社して住んじゃったって言うんですから、しがない勤め人の私にしてみたら羨ましい限り。 イタリアに住み始めた彼女は、今では製造されていないフィアットの500cc車チンクエチェントを購入したくて(もちろん中古です)奮闘します。実は私もチンクエの大ファンなので、このあたりの顛末はどうなることやらと感情移入でハラハラドキドキしてしまいました。 ついに状態の良いチンクエチェントを見つけて購入し、イタリア語で車は女性名詞ということからチンクエチェント→チンクエチェンティーナ、縮めてティーナと命名。以後のイタリア滞在のパートナーとなるのです。 文章も読みやすく軽快で、ユーモアにも富んでいてツボにはまってお腹を抱えて笑ってしまった章もありました。イタリア好きな人なら間違いなく楽しめる滞在エッセイです。
新潮社
どこにいたってフツウの生活―トウキョウ→トリノ→アンティーブ (CG BOOKS)
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