多くのことを語りかけてくれる1冊
巻頭のドキュメント「ジョン・レノン最後の一日」は一気に読みあげた。ジョンが撃たれた1980年12月8日のできごとが時間を追って再現され、ものすごい臨場感と緊迫感がある。当日の天気までよく調べたなあと思う。事件の第一報が伝えられた過程とか、各国の新聞報道なんかも紹介されているので、ジョンの死をリアルタイムで体験していない世代にもあのときの衝撃と悲しみが伝わるはずだ。「ジョン・レノンに会った日本人」のインタビューからは、等身大のジョンの姿をかいま見ることができる。星加ルミ子さん、横尾忠則さんなどの有名人だけでなく、ジョンがおしのびで来日したときに訪れた古美術商とか、そういう一般人とのふれあいのエピソードも含まれているのがいい。ほかに仲井戸麗市さん、佐野元春さんなどによるエッセイや、「ラブ・アンド・ピースの思想と活動」等の読みもの、さらにはCD&ビデオ&本のガイドまである。「作品でたどるジョン・レノンの歩み」は初心者でもジョンのことがひととおりわかるようになっていて、アルバム鑑賞ガイドとしても一級品。グラビアページ最初の写真(篠山紀信さん撮影)のジョンの表情にはドキッとさせられる。実に多くのことを語りかけてくれる両冊だ。
河出書房新社
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